広大フォーラム 34期 2003.2.1 (No.374) 「退職者からのメッセージ」 より転載 (コレは旧字体にて)

「自然界の多樣性を求めて」

廣島大學大學院醫齒藥學總合研究科 
藥學專攻創藥科學講座生藥學研究室

山ア和男

 關東で育つた私は中學高校時代には甲蟲採集に熱中しました。

大學生の時には専ら山を歩き、1年間の英國留學のあと71年に當地に赴任して32年、人生の半分以上を廣島で過ごしました。

この間に多くの留學生達と一緒に東南亜細亜、阿弗利加などの藥用植物成分を探索しました。

いま振り返へるとこれらの研究は少年時代から趣味の延長で、自然界の多樣性の追求であることが解りました。

素晴らしい寶はあまり見つかりませんでしたが、人間が考へ着かぬ様な天然物の多樣性の魅力は何物にも代へ難き物でした。

仮令、生化學が進歩して生命現象が解明されても優れた醫藥品の先導化合物は理屈ではなく、天然から偶然に見つかる事が多ひと思ひます。

今後ともserendipityに富んだ自然探索研究者が育つことを望みます。

●写真は1997年8月中国雲南省虎跳峡にて、ドイツのシュプケ博士 (Plant Image Galleryの共著者) と