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中国との共同研究
先代の田中治教授の時に、中国の雲南省にある昆明植物研究所から楊 崇仁氏が留学し、学位を修得して帰国した。その後も、同研究所から数名の研究者が長期滞在して共同研究を推進した。楊氏は現在、教授となって国際的に活躍している。1991から93年には文部省海外学術調査により、昆明植物研究所と雲南省の植物調査を行い、西双版納地方を中心に野外調査を行なった。
1997年には楊教授は配糖体の国際学会を昆明で開催し、山崎は青酸配糖体に関する招待講演を行なった。その後で、雲南省北部において植物探索を行なった。
研究材料は、田中教授から笠井助教授に継承されたウコギ科(Araliaceae)の人参属(Panax)が主なものであり、更に、ウリ科(Cucurbitaceae)の雪丹属(Hemslea)植物から多数のサポニンを単離、同定している。
天然甘味物質の研究も田中教授の時代から行われ、バラ科(Rosaceae)のキイチゴ属(Rubus)植物からsteviol glucosideのrubsosideを発見した。これは、既によく知られた甘味物質でキク科(Compositae)のStevia rebaudianaから得られていた有名なsteviosideと似通った構造をしているのに甘味が十分でなかったため、各種の酵素と糖類の基質を使って、甘味の改良を試み、成功した。
また、この他にも笠井助教授を中心とするグループにより、シソ科、ウリ科、クルミ科の中から糖以外の植物甘味物質を数多く発見して、構造と甘味の相関について追究している。
これに関連して、2001年11月に第二回IUPAC国際甘味物質討論会を広島で主催した。